妊娠から出産までにかかる費用と給付・補助されるお金について
妊娠が判明すると、「うれしい!」と喜ぶ反面、「色々とお金がかかりそうで不安…」と心配になる方もいることでしょう。しかし、妊娠から出産までにかかる費用の大半は、自治体や健康保険などから給付される給付金や補助金でまかなうことができます。
そこで今回は妊娠から出産までにかかる費用と、給付・補助されるお金について、お金の支払いや給付が発生するシーンごとにご紹介します。
【1】妊婦健診
妊娠初期から妊娠23週までは月に1回程度、妊娠24週から妊娠35週までは月に2回程度、妊娠36週から出産までは週に1回程度の頻度で受診します。
なお、妊娠しているかどうかを確認する妊娠判定検査は妊婦健診には含まれません。
かかる費用
妊娠は病気ではないため、妊婦健診の費用は健康保険の適用外となります。全額自己負担となるため1回の支払いは高額となりますが、後述の通り健診費用の助成が受けられます。実際に支払うお金はわずかで済むため、心配はいりません。
給付・補助されるお金
妊婦健診の健診費用は、自治体からの助成を受けることができます。
役所で母子手帳と同時に受け取る妊婦健康診査受診票を健診時に使用することで、健診費用の一部が助成される仕組みです。会計窓口では、実際にかかった費用から助成金額を引いた額が請求されます。
なお、助成金額は自治体ごとに異なります。また、検査の内容により健診費用は増減するため、支払金額も増減することがあります。
【2】切迫早産や妊娠悪阻の治療
妊娠中、切迫早産や妊娠悪阻(重症のつわり)と診断され、入院したり治療を受けたりする場合もあります。
かかる費用
切迫早産や妊娠悪阻の治療は妊婦健診とは別なので、妊婦健康診査受診票は使用できません。ただし、切迫早産や妊娠悪阻の治療には健康保険が適用されるため、治療費用は3割負担で済みます。
給付・補助されるお金
切迫早産や妊娠悪阻の治療自体に対しての給付や補助はありません。
しかし、1カ月間の医療費が一定の金額を超えた場合、高額療養費制度による払い戻しを受けることができます。
さらに、世帯ごとの1年間の医療費が一定の金額を超えた場合は、医療費控除による還付金を受け取ることもできます。ほか、民間の保険会社の生命保険や医療保険などに加入している場合は給付金を受け取ることができる場合があります。
また、切迫早産による入院やつわりによる体調不良のために仕事を休んだ場合、健康保険から傷病手当金が給付されることがあります。
【3】産前休業
かかる費用
休業に入るだけなのでかかる費用はありませんが、働いていないため会社からの給与支払いはなくなります。
給付・補助されるお金
勤め先の健康保険に加入していれば、出産手当金の申請をすることができます。出産手当金は、給与の3分の2に相当する額が給付されます。
出産前に退職する場合でも出産手当金の給付を受けられる場合もあるため、退職予定の方は給付条件などを調べることをおすすめします。
【4】出産
出産の際は、分娩費用のほか、個室の利用料金などがかかります。
かかる費用
分娩費用は分娩の方法により異なります。帝王切開や吸引分娩、鉗子分娩、無痛分娩などの場合は、正常分娩と比べて費用が高くなります。
切迫早産や予定帝王切開、予定日超過による誘発分娩などのために出産当日より前から入院した場合、分娩費用とは別に入院費用がかかります。大部屋ではなく個室を選択すると追加料金がかかることが多いため、入院費用については事前に確認しておきましょう。
給付・補助されるお金
出産すると、健康保険から出産育児一時金が給付されます。給付額は特別な場合を除き42万円と決められており、出産にかかる費用が42万円を下回った場合は差額を受け取ることができます。
出産育児一時金を上回り支払った額が高額となった場合は、【2】でご紹介した切迫早産や妊娠悪阻の治療と同様に、高額療養費や医療費控除、傷病手当金などの制度を利用できます。
また、勤め先やお住まいの自治体によっては出産祝い金などが給付される場合があります。
おわりに
妊娠から出産までにかかる費用と給付・補助されるお金についてご紹介しました。
妊娠が判明してから出産に至るまでには多くの費用がかかりますが、給付や補助によりほとんどの費用をまかなうことができます。該当する制度についてはきちんと申請をして、お金を受け取れるようにしましょう。