こんな症状に要注意!妊娠うつやマタニティブルー、産後うつの原因と対処法
妊娠・出産は、女性の人生において最大のイベントであり、幸せの絶頂期ですよね。ところが、このようなハッピーなときでも「うつ」状態になることがあるのをご存知ですか?
女性は男性よりもうつ病になりやすく、罹患率は男性の約2倍といわれています。要因はいくつかありますが、その1つがホルモンの影響。妊娠・出産はまさにホルモンの分泌が大きく変化するときで、うつ状態になるのは誰にでも起こりうることなのです。
そこで今回は妊娠・出産に伴う「妊娠うつ」「マタニティブルー」「産後うつ」について、症状と原因、対処法をご紹介します。
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつとは?
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつはそれぞれ、妊娠・出産がきっかけでなるものですが、発症時期や症状の程度、かかっている期間などが異なります。
【妊娠うつ】
妊娠中に発症するうつ病で、日本国内のある調査では妊婦の約15%がかかるという報告があります。多くは妊娠初期に発症し、ほとんどは出産の時期までに解消します。比較的軽度で済む場合がほとんどですが、中には症状が悪化し、診察が必要になる場合も。
【マタニティブルー】
産後2~3日目ごろから表れる一時的なうつ状態で、涙もろくなったり孤独や不安を感じたりするなど、感情が不安定になります。産褥婦の半数が体験し、産後1カ月程度で解消していきます。病気ではないため、投薬などの治療は必要ありません。
【産後うつ】
分娩後2週間~3カ月以内に発症することが多いうつ病で、短ければ1カ月程度、長いと1~2年ほど症状が続きます。れっきとした病気で、軽度~重度まで症状は人それぞれ。出産した10~15%のママがかかっているというデータがあり、意外と身近で起こりうることです。重症化すると、離婚や子どもへの虐待、無理心中まで発展する可能性も。
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつの主な症状
下記の症状がいくつか当てはまると、妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつにかかっている可能性があります。
・すぐにイライラしてしまう
・無気力な状態が続く
・気持ちが落ち込みがちで、涙もろくなる
・さまざまなことに興味が持てず、何をしていても「楽しい」と感じない
・集中力や記憶力が低下し、仕事や家事などでのミスや遅延が多くなる
・なかなか眠れない
・過食気味や拒食気味など、食欲にムラがある
・常に疲れており、体がだるく感じる
・他人との交流が面倒に感じる
産後うつは、上記項目の他に下記の症状もあります。
・子どものお世話を苦痛に感じる
・「自分ばかりが大変」と夫に怒りを感じたり、愛情がなくなったりする
・頭痛、吐き気、下痢、便秘、胃痛、腰痛などの症状がある
・性欲や睡眠欲がなくなる
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつになる主な原因
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつになる原因はいくつか共通しており、いずれも体や環境の変化、今後の生活への不安などがきっかけとなっています。
【ホルモンバランスの変化】妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつ
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつは全て、ホルモンバランスの変化がうつ症状の原因となります。妊娠うつの場合、妊娠で大量分泌された黄体ホルモンなどにイライラしたり感情の起伏を激しくさせたりする作用があります。マタニティブルーと産後うつは、妊娠中に増えた女性ホルモンが産後に減少してホルモンバランスが急激に変化するため、心身共に不安定な状態になるのです。
【出産や母親になること、経済面や仕事などへの不安】妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつ
特に初産の場合、出産の痛みなどへの恐怖心から、妊娠うつを引き起こすことがあります。そして、母親になることや今後の生活(家事・経済面・仕事など)に関する不安も、妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつを発症させるきっかけになります。
【環境の変化や周囲の人々から感じるストレス】妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつ
働く女性は妊娠を機に退職したり産休に入ったりして生活が大きく変わると、戸惑いや喪失感を感じることも。そして、産後は赤ちゃんのお世話で家にこもる生活となり、寝不足の日が続きます。また、夫の無理解や双方両親の過干渉・非協力など、周囲の人々から受けるストレスも、新米ママにとっては大きな負担に。孤独感や閉塞感が、うつ状態になる一因なのです。
【つわりなどのトラブルや体型変化によるストレス】妊娠うつ
プレママの多くが経験するつわりの吐き気や食欲不振などは、日常生活上で大きなストレスになります。また、お腹やバストなど体型が大きく変化することにもストレスを感じ、妊娠うつになるきっかけに。
【家事や育児が完璧にできないストレス】マタニティブルー・産後うつ
雑誌やインターネット、テレビには育児に関する情報があふれ、おしゃれで家事・育児も完璧そうに見える理想的なママが多く登場しています。しかし、実際の育児は思う通りにいかないもの。そのギャップにストレスを感じてしまう完璧主義なママほど、マタニティブルーや産後うつになる危険性が高いのです。
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつへの対処法
妊娠うつ・マタニティブルー・産後うつは症状や原因に共通点が多いですが、対処法は異なります。
妊娠うつは症状が比較的軽い場合が多いため、日常生活を変えることでうつ症状を改善できるパターンが大半です。マタニティブルーも一過性のものなので、生活や考え方を改めることで解消されます。
一方、産後うつは病気なので、本格的な治療が必要になります。うつ症状は、早めに対処することで悪化を防げます。軽く考えず、家族ぐるみで取り組んで克服を目指しましょう。
妊娠うつ・マタニティブルーの場合
【食事の栄養バランスを整え、早寝早起きを心掛ける】
妊娠中のつわりで偏食気味になっていたり、生活環境の変化で遅寝遅起など乱れた状態になっていたりすると、精神的にも不安定になります。きちんとした食事や早寝早起きを心掛けて、規則正しい生活を送りましょう。なお、うつに効果的な栄養素はたんぱく質や鉄、亜鉛など。毎日の食生活に積極的に取り入れると良いでしょう。
【休息をとる】
うつ状態は、几帳面で真面目な人がなりやすいといわれています。家事や上の子のお世話、仕事などを頑張ってしまう人は、知らないうちに心身に疲れをためている状態に。また、産後は赤ちゃんのお世話で不眠の日が続きます。ときにはゆっくりくつろぐ時間を作り、家事も上手に手抜きして、心と体を休ませましょう。
【1人で抱え込まない】
出産、育児などへの不安は全てのママが感じることですが、つい1人で抱え込みがち。夫や両親などの家族、親しい友人、先輩ママなどに打ち明けてみましょう。また、他愛のないおしゃべりで発散させるのも有効です。気持ちにゆとりが生まれると、うつ状態から抜け出せることがあります。
重い妊娠うつや産後うつの場合
【病院で相談する】
妊娠うつがつらくなってきたり、産後うつになったりしたら、かかりつけ医に相談を。専門カウンセラーによる心理療法や、妊娠・授乳中でも服用できる薬を処方するなどして、きちんと対処してくれます。
おわりに
ここでは、妊娠・出産に伴う3つのうつ症状をご紹介しました。
1つの命を授かり親として生きていくことは、大きな責任を背負うことでもあります。しかし、妊娠したその日から、誰もが不安や心配になっています。また、一見完璧に見える他のママも、失敗したり悩みを抱えたりしているのです。「子どもと一緒に自分も成長していくんだ!」と大らかな気持ちで構え、家族や周囲の人々みんなで出産・育児を楽しみましょう!