妊娠中にかかると母子感染の危険も!?妊婦が気をつけるべき病気一覧

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妊婦が気をつけるべき病気

女性は妊娠すると、病気やウイルスに対する免疫力が著しく低下し、通常より病気や感染症に掛かりやすくなります。普段なら通院などで治癒できる比較的症状が軽い病気でも、場合によっては母子共に重篤な症状が出てしまうものも。

今回は、妊娠中に特に気をつけたい病気と予防法についてご紹介します。

妊娠すると免疫力が低下するのはなぜ?

免疫力が低下免疫力とは、細菌やウイルスなど体にとって害となるものや異物から自分を守ろうとする力です。健康な大人の場合は免疫力が正常に働くことで病気になるのを防ぎますが、妊娠すると体は自ら免疫力を下げます。なぜなら、免疫力が強いままだと胎児を「異物」と認識し、免疫細胞が受精卵を排除しようとするためです。胎児を守るために、母体の免疫力が低下するというわけですね。

そのため妊婦は病気にかかりやすく重症化しやすいので、妊娠中は通常より感染症を防ぐ対策が必要なのです。

妊娠中に気をつけるべき病気10選

病気10選では、実際に妊婦はどのような病気にかかると危険なのでしょうか?ここでは、代表的な10種類の病気をあげてみました。

風しん

妊娠中、特に妊娠20週頃までに感染した場合、胎内の赤ちゃんも風疹ウイルスに感染する恐れがあります。風しんウイルスに感染した状態で産まれた赤ちゃんは、白内障や先天性心疾患、難聴、心身の発達の遅れなどが表れる「先天性風しん症候群」になる可能性があります。

【予防方法】
妊娠前に予防接種を受けることがベスト。妊娠中は予防接種を受けられないので、妊娠が判明したら家族など特に身近な人に予防接種を受けてもらいましょう。

麻疹(はしか)

妊娠中に感染すると、自然流産や早産、低体重児出産のリスクが高まります。

【予防方法】
風疹と同様に妊娠中の予防接種ができないため、妊娠を考えたら予防接種を。また、過去に自分が風疹の罹患もしくは予防接種経験があるかを調べておくと安心です。

水ぼうそう(水痘)

免疫を持っている妊婦が多く、発症例は少ないものの、感染した場合は重症化する場合があります。妊娠中に感染した場合、赤ちゃんの皮膚や目、手足などに影響が出ることも。

【予防方法】
妊娠中の予防接種ができないため、妊娠前に接種を。空気感染や飛沫感染、接触感染などあらゆる方法で感染してしまうため、注意しましょう。

伝染性紅斑(りんご病)

妊娠中に感染した場合、胎盤経由でお腹の赤ちゃんにも感染し、赤ちゃんの赤血球が減少して「胎児貧血」になることも。重症化すると流産や死産に至ります。

【予防方法】
伝染性紅斑にはワクチンがなく、予防接種を受けられません。上にお子さんがいて幼稚園や学校などで流行した場合には、細心の注意を。

トキソプラズマ

食用の生肉や猫のフン、洗っていない野菜や果物にいる寄生虫が原因で、主に口から感染します。妊娠初期の母体が病気になると、胎盤を通して赤ちゃんにも感染。流産や早産、死産、先天性の奇形、中枢神経障害を起こす危険があります。成長するにつれて、目や脳に障害が出る場合も。

【予防方法】
生肉は十分加熱し、野菜や果物、調理器具はよく洗いましょう。猫を飼っている場合は、なるべく家族にお世話を任せて。

サイトメガロウイルス

ほとんどの方が乳幼児期に自然に感染し、抗体を持っているウイルスです。妊娠中に初感染すると、低体重や黄疸、肝機能障害、難聴などになる可能性があります。成長するにつれて、難聴や神経関連の後遺症が見られることも。

【予防方法】
乳幼児の唾液や尿にウイルスがいることが多いため、上のお子さんがまだ小さい場合、お世話したときは小まめに手を洗いましょう。

リステリア

非加熱処理のチーズや生ハムなどの食品を食べて感染することが多い病気です。妊娠中に感染すると流産や早産、死産、そして出産後は敗血症や髄膜炎を引き起こす場合があります。さらに妊娠後期の感染は赤ちゃんへの影響が大きく、胎児や新生児が感染した場合の致死率は2~3割とかなり高い確率で危険が及びます。

【予防方法】
妊娠中は非加熱のナチュラルチーズや乳製品、生ハムやスモークサーモンなどの生の肉や魚を食べるのは控えましょう。

性器クラミジア

性感染症の1つ。妊娠中に感染すると流産や早産のリスクが高まります。出産時に産道を通過する赤ちゃんが肺炎や結膜炎に感染する場合も。

【予防方法】
性交渉で感染するため、妊娠を考えたらパートナーと一緒に検査を受けましょう。治療は抗生物質で行います。

性器ヘルペス

クラミジアと同じく性感染症の1つです。出産時に産道感染すると、赤ちゃんが肺炎や脳炎を引き起こすことがあります。

【予防方法】
妊娠中に症状が出た場合、抗ヘルペスウイルス薬の投与は行われないのが一般的です。医師の判断で、治療を行うか出産時に帝王切開などで赤ちゃんへの感染を防ぐかの対策が検討されます。

B群レンサ球菌感染症

女性の膣内や肛門付近によく見られる細菌で、妊婦の1割ほどは保菌しています。妊娠中に赤ちゃんと羊水を包んでいる膜に感染すると絨毛羊膜炎を発症し、破水が早まって早産に繋がることも。出産時に赤ちゃんが産道感染すると、敗血症や髄膜炎、肺炎などを発症する恐れがあります。

【予防する方法】

妊娠中期~後期の検診時にこの感染症の検査があるので、しっかり受診しましょう。

おわりに

ご紹介した通り、妊娠時は免疫力が低下するため、通常なら投薬などで治せる病気でも、母体やお腹の赤ちゃんに大きな影響を与えます。妊娠を考えたら、なるべく早く病院で検査を受け、パートナーなど家族と共に感染症関連の予防接種を受けておくことが一番の予防法です。

お腹の赤ちゃんの健康のために、できる範囲で早めに予防しておきましょう!